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昭和40年代の中学生 第7話 [青春小説]

第7話

☆ 君子と再会

中学の部活で、野球部に所属しているジョーケンだが、気弱でまともに女性と話が出来ない性格は、悪く言えばのろ間でお人好し、良く言えば人見知りをして赤面タイプである。
黙っていれば、女子にもてるのだがきっかけが掴めないで、悶々とした日々を送っていた。
好きな子に、好きと言えず、積極的な子には引っ張られてしまうそんな純真な中学生球児なのだ。

ジョーケンの恋人は、もっぱら右手一本である。
吉永小百合の写真を見ては、一人頑張っている。
最近は、若奥様のおっぱいを見てしまった情景だけでも思い出すたび抜けている。
それだけでも、幸せなのだ。

いよいよ、市内の中学生野球の夏の大会が始まった。
3年生は、最後の大会である。
1年生のジョーケンは、当然レギュラーになれずにグランド整備やボールボーイのお手伝いだ。
市営球場に市内7中学が、集まった。
我が中学は、開会式直後の第一試合でS中学と対戦する。
S中学は、市内でも一番弱いと評判の中学である。
この中学には、ジョーケンの友達も何人か居た。
小学生の夏休みの林間学校が、隣の小学校と何時も一緒だった。
キャンプファイャーも、一緒に遊んだりフォークダンスも一緒にしていた。
女子では、君子と結構話が出来た。
勿論、君子から話し掛けて来たからだが・・・・・・・

当時のジョーケンは、ボーイスカウトに入っていてキャンプ慣れしていた。
食事の定番である、カレーや焼飯も得意だった。
飯盒で炊くご飯は、もっとも得意としていた。
同じ料理班で、初めて君子と会った。
明るくて、何時も笑顔だった。
黒い顔で、目が大きかった。
お互いに、写真を交換したり文通もしていた。
中学に成って、何時しか文通も途切れていた。

初戦の為に、一生懸命トンボを持ってグランドを整備し、ラインを引いたりしていた。
それが終わると、バックネット裏へ行きボールを主審に渡す役の為待機する事と成った。
その時である、
「ジョーケン」と、馴れ馴れしく呼ぶ声がした。
振り向くと、君子だった。
「野球やってんだ、だから手紙書く時間が無いんだ」
「そうでもないけど・・・・・・・」
下を向くだけのジョーケンだった。
君子は、マイクのテストをしていた。
ウグイス嬢だって。
1年ぶりの君子は、綺麗に成っていた。
俺は、野球部の補欠で、未だに彼女も居なくて一人エッチしている気弱な男である。
この時の、君子は眩しかった。
チームメイトが、今の娘知ってるのかと聞いてきた。
何と無く、鼻が高くなって「知ってるよ」なんて、カッコ付けて喋っていた。
本当に、君子は綺麗に成っていた。
同時に、遠い存在にも成っていた。
どうして、手紙を出し続けなかったのか悔やんでいる。
理由は、単純だ。
ジョーケンは、字が下手糞だったのだ。
一人エッチと同じ右手だが、字を書くのは苦手だったのだ。
今の時代の様に、携帯電話があったらもう少し違っていたかも。

君子は、試合が終わって帰る時に「また、手紙書くからね」と言ってくれたが、二度と来なかった。
すっぱい思い出だ。
その後は、色々な大会がある度に君子を探しているジョーケンがいた。
忘れられない、女の子だ。

昔に戻りたい。


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