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昭和40年代の中学生 第21話 [青春小説]

第21話

☆ハルミと「愛と死を見つめて」

秋も深まり、野球のシーズンも終わりを告げている。
冬の練習は、ランニングやうさぎ跳び、ダッシュや階段の上り下りと苦しくも辛い練習に成る。
ジョーケンは、先輩の目を盗んではサボっていた。

冬は、サッカーかバスケだと決めているジョーケンは、サッカー部やバスケ部へ試合を申し込んだりしていた。
サッカーの試合でも、我が野球部はサッカー部に負けた事が無かった。
バスケに至っては、大会に出てくれと誘われていた。
満更でもなかったが、野球部が許してくれる事は無かった。

5時を過ぎると、外は暗くなり始めている。
ハルミと一緒に帰るチャンスが有った。
ハルミは、歩きでジョーケンは自転車だが、ジョーケンはゆっくりと自転車を漕いで、ハルミと帰った。
「真理子とは、付き合わないの」
「ウーン、何とも・・・・」
「折角、紹介してあげたのに」
「頼むから、余計なことはしないでくれ」
「フーン、誰か好きな娘が居るの」
「うん、ハルミが・・・・・」と、言いかけて止めた。
恥ずかしいのだ。
ハルミは、おっぱいは小さいが可愛い。
「今度、映画を見に行くか?」
「何時、何て映画?」
「日曜に、愛と死を見つめてを見に行こう」
吉永小百合と浜田光夫の、話題作だ。
みことまこの物語を、見に行きたいと思っていた。
以外にも、ハルミは行くと言った。

日曜がやって来た。
4時半からが空いていると、清隆から連絡が有りハルミと町で唯一つの映画館へ行った。
学校の友達も沢山来ていた。
とうとう、二人が付き合っていると言っている様な状況だ。
当時の料金は、中学生は150円だ。
結構、高かった。
おやつは、実家の雑貨屋からチョコレートを盗んで来た。
家が商売をしていると、誠に便利である。
立ち見が出る位に、込んで来た。
当時は、映画が最高のレジャーだった。

吉永小百合の「みこ」が、癌で亡くなって行く・・・・・・
純愛映画である。
ジョーケンは、映画は全く覚えていない。
ハルミの手を握ろうかと、迷い続けて映画を見ている余裕は無かった。
気の弱いジョーケンの、真骨頂だ。
結局、手も握れずに横目でハルミを見ているだけだった。
ハルミは、涙を流しながら映画を見ていた。
ジョーケンの下心は、吹き飛ばされてしまった。
「まこ」に、成りたい。
ハルミが、癌で・・・・・・
そんな事は、有る筈が無い。

チクショーッ!


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